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Unscientific knowledge and the egg aging panic  /

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Description: 近年の日本では、妊娠・出産に関する大量の情報があふれている。その多くは、産科・婦人科・生殖医学の専門家やその団体がつくり、マスメディアに流れるものであり、結婚・出産を促進する政策を科学的に正当化する根拠として使われてきた。 「卵子の老化」はこの政治的現象を理解するためのキーワードである。このことばは、元々は、減数分裂途中で長い時間が経過したために雌性生殖細胞が変性する生物学的現象を指していた。しかし人口に膾炙するにともなってその意味が拡大し、今日では女性の加齢にともなう妊孕力低下とその背後にある生物学的な仕組みの全体を包含するマジックワードとなっている。 メディアによるキャンペーンが「卵子の老化」をとりあげるなかで、誤った情報が、いかにも科学的な知識であるかのような装いを持って書籍、雑誌、テレビ、ウエブサイトなどにあらわれた。それらの多くは若者の身体に関する自己認識を書きなおすこと、そしてそれを通じて彼らの性行動と家族形成に影響を与えることを狙っている。身体に関する意思決定に誤情報をもって介入することは身体の自由に対する侵害とみなされる。また、専門家が誤情報を流布させているという事実は、医学・医療への信頼を毀損し、保健医療システムを危機にさらすおそれがある。 研究プロジェクト“非科学的知識の生産・流通と「卵子の老化」パニック” (KAKENHI #17K02069; 研究代表者: 田中重人 東北大学准教授; 期間: 2017-2019年度) では、学術的文献と一般向け文献の両方を収集し、それらの分析を通じて「卵子の老化」キャンペーンの成立した社会的諸条件とその結果をあきらかにすることを目指している。この報告書では、キャンペーンに登場した非科学的なグラフのいくつかをとりあげ、それらがどのようにつくられ、日本社会に広がって世論と政策に影響を与えたかを解説する。

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